Hans J Wegner (1914-, Danmark) |
Armstol/PP201 Armchair,1969 |
Solid oak with laminated back and armrail. Pronounced joints in venge. Woven cord seat. |
Twenty years after 'The Chair(PP501)', PP201 was designed to bear a chair "With equal features and beauty at a lower price". Saving costs by using more mechanical processes, there are also many ideas to cut down the waste of wood often caused by chiseling. |
PP201の脚は、旋盤とルータで容易に加工される。 |
ウェグナーの代表作といえば、皆さんどの椅子を思い浮かべますか? オックスチェア、ベアチェアなどの大ぶりの椅子、ピーコックチェア、バレットチェアなどの斬新な形の椅子、Yチェア、チャイニーズチェアなどの美しいデザインの椅子などなど、いろいろな方がいらっしゃると思います。彼は、 各メーカー ごとに、その特徴を生かしたデザインを提供してきました。たとえばゲタマ社や AP Stolen 社には大型の椅子やソファ、 CH (カールハンセン&サン社)にはシェーカースタイル、そして熟練のJH(ヨハネス・ハンセン社)にはザ・チェアというように・・・。そして、ウェグナーは500脚以上にもおよぶ椅子を、デザインしてきました。 「64CHAIRS」ではいままで、ぼくなりのテーマにそって8脚ずつ、そしてウェグナー・シリーズでは、4脚ずつの椅子を紹介してきました。そして、それぞれシリーズの、最初と最後には自分なりのこだわりの椅子を並べてきました。ここで、 今回の4脚の最後 が何故PP201なのかをお話ししましょう。この椅子はウェグナーの作品としては、それほど有名な椅子ではありません。多分実物をご覧になった方も、そう多くはないでしょう。また、ご覧になったとしても、さほど印象に残ってはいないのではないでしょうか。ウェグナーの作品は、彼が30代だった1940〜50年代にデザインしたものが基礎となっています。彼はそれらの椅子に改良を加え、リデザインし、よりよいものを目指してきました。 「私の作品は芸術作品ではありません。日用工芸品なのです。」 「機械化できる部分はどんどん機械化したらいい。ただ忘れていけないのは、手仕事よりも高い品質と適正な価格をもたらす場合に限ってのみ、機械は有効だということです。」 あのウェグナー博物館の教室にたくさん並べられていた PP201に腰掛け、ウェグナーの言葉に耳を傾けながら、「ウェグナーさん、このPP201はあなたがたどりついた一つの集大成なんですね。」ぼくは彼に語りかけていました。ここまでに紹介したウェグナーの椅子は、彼自身がもっとも気に入っているという PP701を除けば、どちらかというと、日常、普段使いで使う椅子ではありません。このPP201は、ザ・チェアからちょうど20年後に、同じレベルの機能と美しさを、よりリーズナブルな価格で、という考えのもとにデザインされました。 目立たないけど、普段使いに最適なおすすめの一脚です。 |