Hans J Wegner
(1914-, Danmark)

Shell chair Prototype,1949

Bent laminated wood frame with plywood back and seat

After participating in "Low-Cost Furniture Design," the 1948 competition held by the MoMA
in New York, he began working with the relatively new process of forming laminated wood,
although only on a two-dimensional level. A preliminary "Shell chair" prototype from 1949,
with its three separate shells,was probably a forerunner of the Eames's "Lounge Chair" from 1956.




MoMA design competition Model/1948/Wegner

キーワードその1/2次元から3次元へ
現在では、素材の多様化、加工技術の進歩により、3次元でデザインされた椅子はめずらしくありませんが、1900年代前半の椅子はまだまだ平面で構成されたものがほとんどでした。1920年代のバウハウスもまたしかりです。もちろんガウディのように材を彫刻して、立体的な椅子を作ってしまうような例外はありましたが・・・。そんな時代に登場してきたベニヤ(合板)が、3次元でのデザインの可能性を拡げました。

キーワードその2/キャビネットメーカーギルド展とMoMAデザインコンペ
1941年、ウェグナーはヨハネス・ハンセンと組んで、キャビネットメーカーギルド展に出展。以来四半世紀にわたりこの「ゲーム」(ウェグナーいわく)は続けられました。そして、この展覧会は、デンマークのデザインを世界に広める重要な役割を果たすことになります。1948年、ウェグナーは MoMA(Museum of Modern Art, New York)のデザインコンペにも参加、その翌年にデザインしたのがこのシェルチェアです。

キーワードその3/イームズとウェグナー
1940年、イームズはエーロ・サーリネンと組んで、MoMAのオーガニック・デザインコンペに参加。その後軍用の添え木、担架などの開発で培った合板の技術をもとに、1945-1946年にかけてLCW/LCM/DCW/DCM(Lounge Chair Wood/・/・/Dining Chair Metal)を発表、これをきっかけにハーマンミラー社がイームズのバックアップを開始。1948年のMoMAのコンペには樹脂製の座面をもったラ・シェーズを出展。そして1956年のラウンジチェアと続いていくのです。

イームズがベニヤを曲げて椅子を作り、ウェグナーがその新しい技法にチャレンジし、さらにイームズが革張りのクッションでくるむ。この LCW(Eames) → Shell Chair(Wegner) → Lounge Chair(Eames) の流れはなかなか興味深いものがあります。もっともベニヤで一番成功したのは、ご本家イームズではなく、アルネ・ヤコブセンの ありんこチェア というのがまたおもしろいですね。またウェグナーとヨハネス・ハンセン、イームズとハーマンミラー、ヤコブセンとフリッツ・ハンセンのように、デザイナーとコンストラクターの良好な関係が成功の鍵をにぎっていることも見逃せません。そう、あの セナ とウイリアムズ・ホンダのように。

このシェルチェアはたった1脚しか作られませんでした。そしてその1脚は、いまもウェグナーの自宅のリビングルームに置かれています。

LCW/1945/Eames Shell Chair/1949/at Wegner's home Lounge Chair/1956/Eames


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