Michael Thonet
(1796-1871,Austria)
Chair,Model No.14,
1859
Bent solid and laminated
beech construction
with woven cane seat.
The result of extensive experimentation
during the late 1850s into the bending
of solid wood, the No.14 chair remains
one of the most successful industrial
designed products of all time.
The simplified form of the chair was
developed by Thonet as a means of achieving
his goal of mass-production : by 1930,
50 million examples had been sold worldwide.

( Museum Thonet )






この64CHAIRSはリートフェルト(1888−1964)特集からスタートしましたが、ここでモダンチェアの歴史にすこしふれてみましょう。リートフェルトからさかのぼることおよそ100年、モダンチェアはこのトーネット(1796−1871)の No.14 がその原点に位置します。18世紀後半ワットの蒸気機関が登場し、産業革命により手工業から機械工業へと労働力の集約化が進むと、その波は椅子の世界にも影響を及ぼし、大量生産でき、かつ丈夫な椅子が求められてきます。木材は削ってその繊維を切断してしまうと、強度が著しく減少してしまいます、なんとか繊維を切らずに曲げることはできないだろうか・・・、トーネットは初めて工業的にその手法を確立しました。蒸気で蒸し、型枠にはめて熱を加えることにより、強度を保ったまま材を曲げることに成功しました。現在でもこの手法は一般的に用いられています。さらに彼は椅子を各部材に分け、特別な技をもった職人でなくとも加工ができるよう機械化をはかり、それを出荷して現地でねじ止めして組み立てるという、まさに近代的工業の礎を築いたのです。現在にいたるまで世界中で5000万脚が製造販売されたというのですから驚きです。


Armchair,Model No.14
リートフェルトの直線的なデザインとは対照的に、トーネットの "曲木椅子" はシンプルで暖か味のあるデザインです。材は beech(ぶな)で、座は籐で編まれています。今回はトーネットとそれに関わる8脚を御紹介致します。実は彼より40年も前に、曲木椅子を完成させていた人物がいたことも、あきらかになります。
Chair,Model No.17



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