今回はベンチとスツールの特集です。特にベンチは私のお気に入りの椅子の一つです。ベンチというと、公園のベンチを思い浮かべる方が多いでしょうが、室内におくベンチにもとても素敵なものがたくさんあります。ここではベンチ4点、スツール3点、ラウンジチェア1点をご紹介いたします。 | |
「安曇野ちひろ美術館」、雪をかぶった雄大な北アルプスのふもとにその美術館はありました。敷地がゆったりと広く、庭園も建物も素敵な美術館です。敷地の一角には童話作家、岩崎ちひろが晩年すごした黒姫の山荘も再現されています。以前からその存在は知っていましたが、ぜひこの目で確かめたくてこの連休に行ってきました。美術館のなかはそれはもうみごとです。何がですって?もちろんいすです。・・・ちひろさん、ごめんなさい、来場者のみなさんはちひろさんの絵に見入っていましたが、ぼくだけは椅子に見入っていました。絵も素敵でしたよ・・・ここにおかれている椅子たちは、みな素晴らしいものばかりです、「ちひろ椅子」、「サムチェア(ララバイの一人掛けタイプ)」、廊下のベンチ、カフェやテラスにおかれたテーブルやベンチにいたるまで。またクイズに出題したミニチュア名作椅子たちも、美術館の中の子供たちが遊べるスペースにおかれています。そして「ララバイ」です・・・もうたまりませんね。このベンチは母と子がやさしく寄り添えるようにと、座がそっとカーブしています。ちひろの絵をゆっくり鑑賞できるようにという願いをこめて、ギャラリーにおかれています。 「ララバイ」と名付けられたこのベンチは、ほんとうにやさしさを感じます。デザインした人、作った人、すわって子供に子守歌をきかせているお母さん、暖かみがつたわってきます。手仕事でなければできない椅子です。そのやわらかなデザインが、みごとにギャラリーとマッチして美しい空間をつくっています。 |
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唐突ですがみなさん "japan","china" という英単語の意味をご存じですか?「日本」、「中国」だろうって?それは大文字の場合。小文字の時は普通名詞でそれぞれ「漆器」、「陶磁器」を意味します。家具にしても、椀にしても、器にしてもおよそ生活で使われるものは、ふだん使いが基本だと僕は思っています。どんなにいいものでも、飾っておくだけで使わなければ意味がない、そう考えています。いいものほど使い込んでいくと、なんともいえない艶や風合いがでてきます。お気に入りの椅子にこしかけ、古伊万里の染付の器でおいしい食事をいただく・・・ふだん使いのぜいたく・・・いかがですか。ちひろ美術館の「ミニチュア椅子」は飾りで展示されているのだろうと、勝手に想像していたのですが、子供たちが遊ぶ部屋においてあり、そこでは自由にふれることができるのです。実際、子供たちはこれらの椅子を「私はこれ、あなたはこれ・・・」といって、もうおもちゃがわりに使っていました。とてもほほえましい光景でした。 |